堤中納言
どうでもいいことだけど、書き始めたので、続きを!?
実際のところ、なんでこのタイトルなのかは不明。
しいて言えば、10篇の短編小説からなる本書は、
“短編の物語を堤の中に隠しているという意味だろう”と推測されている。
つまりダジャレ。
だから、集めた物語も喜劇。
第1篇:花桜折る少将(「美人を妻にした少将の話」という意味)
ある中将(少将か中将かは、写本上の問題)がいた。
和歌や音楽の才能も抜群であったので、帝から御呼ばれになることもしばしば。
また、顔も抜群でモテまくった。
だから、今の彼女には心無く、もう飽きていた様子だ。
「キレイな姫君はいないものか」と思って、そぞろ歩きしていたら、
いたのだ!自分好みな姫君が!?
どうやら、父上がうるさいようで、歌を渡すことも難しいらしい。
あらゆる手段を使い、姫君にアタックするチャンスを探る男前の中将!
そして、考えた!
屋敷に忍び込み、姫を連れ出して……するのだ!
ついに、その日が来た。
男前の中将が、姫の部屋に忍び込み、寝ている姫を抱きかかえて連れ出した。
牛車に姫を詰め込み走らせる。
しばらくして牛車から「だれじゃ?」と声がする。
乳母の話によると、実は、風邪気味だった姫の祖母様が、姫の部屋で寝ていた。
祖母様は尼になっておられてたので、頭が寒く、頭から衣をかぶっていたので、
誰なのか、わからなかったのだろう。
牛車から「いったい誰なのじゃ」と古びた声がする。
まったく馬鹿げた話だ。
中将は男前だったのですがねぇ。
平安中期から後期の源氏物語とその類似品に飽きた時代に、
新しいジャンルと可能性を示した傑作。
しかし、高校の教科書には、あまり載らないらしい。